保険の説明では、伝えることがたくさんあります。保障の内容、保険料、解約したときの返戻金、給付金が支払われない場合。説明する側は「伝えた」と思っていても、お客様が同じように分かっているとは限りません。
説明についての苦情は、どのくらいありますか
生命保険協会の生命保険相談所に令和6年度に寄せられた苦情 3,981件のうち、「説明不十分」は 498件(12.5%)で、内容別の第2位でした。前の年度より 43件増えています。
発生の原因で見ると、498件のうち 471件は、営業職員や代理店といった営業担当者によるものでした。報告書は、契約内容の説明不十分についての申し出が多い、としています。
説明では、何が求められていますか
金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」は、お客様の保険についての知識の程度や商品の特性に応じて、お客様の意向を把握し、確認することを求めています。
さらに、お客様が契約の内容を理解していない、または誤解していることが明らかな場合は、「より分かりやすい説明及び誤解の解消に努める」こととしています。説明は、話して終わりではなく、分かったかどうかまで見届けるもの、と読めます。
電話で書面の内容を説明する場合について、監督指針は、口頭で説明すべき事項を定めること、書面を読むことが大切だと口頭で伝えることなどを挙げています。また、金融庁の「顧客本位の業務運営に関する原則」(2024年9月改訂)は、原則5 で「重要な情報の分かりやすい提供」を掲げ、その取り組みに「重要情報シート」を使うことが期待されています。
「伝えた」から「伝わった」へ
- 書面で説明する契約概要と注意喚起情報を示す
- 動画で補う仕組みや手続きを、見て分かる形でも伝える
- 問いで確かめる大切な点を、お客様に選んで答えてもらう
- 誤解を解く違う答えが出た点を、説明し直す
当社による整理です。
たとえば、「解約したとき、払い込んだ保険料は全額戻りますか」「この特約では、どんなときに給付金が支払われませんか」と問いかけます。違う答えを選んだ点こそが、説明し直すべき点です。
動画は、書面の説明の代わりになりますか
なりません。契約概要や注意喚起情報の書面を示すことや、担当者による説明が、動画に置きかわるわけではありません。動画は、それを補うものです。
- 面談の前に見てもらう:仕組みの全体を先に知っておくと、当日の説明が入りやすくなる。
- あとから見返せるようにする:家族と相談するときにも、同じ説明を見られる。
- 手続きの説明に使う:給付金の請求や住所の変更など、手順のある説明は、画面で見せると分かりやすい。
動画と紙の違い、字幕や問いの効果は、「動画は、紙や PDF より伝わりますか」と「動画の途中に問いを入れると、学習は変わりますか」で、研究をもとに紹介しています。
Sylavids と hihaho では
Sylavids は、PowerPoint や PDF の資料から、ナレーションのついた説明動画と字幕のファイルをつくる AI 動画生成サービスです。資料のデザインは、そのまま動画に引き継がれます。商品の内容が変わったら、原稿を直して作り直します。
AI が書いた原稿と音声は、下書きです。公開の前に、内容と読み方を人が確かめて直します。保険の説明では、書面と同じように、社内で決めている確認の手順を通すことが欠かせません。
hihaho は、動画の途中に問いや分かれ道を入れ、視聴者の答えと視聴の記録を残せるインタラクティブ動画のプラットフォームです。動画にメニューやボタンを置くと、保障の内容や手続きなど、見たい項目を選んで見られます。答えた内容は、記録で確かめられます。
答えの記録を残すときに、気をつけること
- 誰がどの問いにどう答えたかは、個人情報になります。個人情報保護法に沿って、利用目的を決め、お客様に通知または公表します。
- 記録を何に使うかを、はじめに決めます。説明し直すため、説明の資料を直すためなど、目的の範囲で使います。
- 記録が、意向の確認や書面の交付の代わりになるわけではありません。保険業法と監督指針が求める手続きは、別に行います。
このコラムで言えないこと
- 相談所の統計は生命保険についてのもので、損害保険にそのまま当てはまるとは言えません。また、各社の窓口に届いた苦情すべてではありません。
- 動画や問いを使えば、苦情が減る、とは言えません。
- 記録の扱いや説明の手続きが法令の求めに合っているかは、社内の法務・コンプライアンスの部門でご確認ください。
一緒に、説明の形を考えませんか
伝えたことが、ちゃんと伝わっているか。お手元の説明資料から、補う動画と確かめる問いを、一緒に考えます。
関連するページ
- Sylavids:PowerPoint や PDF の資料から、ナレーションつきの説明動画をつくる
- hihaho:動画の途中に問いを入れ、答えと視聴の記録を残すインタラクティブ動画
- 動画は、紙や PDF より伝わりますか:情報量と理解の関係、字幕と問いの効果
出典
- 説明不十分の苦情の件数と発生原因:生命保険協会 生命保険相談所「相談所リポート〈令和6年度版〉」(PDF)(別のタブで開きます)
- 意向の把握と確認、誤解の解消、電話での説明:金融庁「保険会社向けの総合的な監督指針」II-4 業務の適切性(II-4-2-2(2)(3))(別のタブで開きます)
- 原則5 と重要情報シート:金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」(別のタブで開きます)
- 利用目的の特定と、通知または公表:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-1-1、3-3-3(別のタブで開きます)
確かめる
この記事の内容から、2 問です。選ぶと、その場で答えと説明が出ます。
問い 1生命保険相談所に寄せられた令和6年度の苦情で、「説明不十分」は内容別で何位でしたか。
説明不十分は 498件(12.5%)で第2位でした。第1位は入院等給付金不支払決定です。
問い 2保険の説明で動画を使うときの考え方として、合っているのはどれですか。
書面の説明や意向の確認は、動画に置きかわりません。動画は、理解を助けるために補うものです。
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