学習を支えるしくみは、4つの役目に分けて考えられます。講座と教材を届ける LMS。外部の教材やツールをつなぐ LTI。学習の記録の形を決める xAPI。記録を受け取って保管する LRS。途中に問いなどを入れたインタラクティブ動画は、教材の1つです。動画の中の問いへの回答と視聴の操作は、xAPI の記録として表せます。

この記事は、先のことを予測せず、公表されている規格、計画、調査の数字を整理します。

LMS、LTI、xAPI、LRS は、何をして、どうつながりますか

LMS は、LTI を使って、外部の教材やツールを呼び出します。xAPI に対応した教材は、学習の記録をつくり、LRS に送ります。

LMS講座と教材を学習者に届け、受講の状況や成績を管理するソフトウェア(学習管理システム)です。
LTILMS などに、外部のツールや教材を決まった方法でつなぐ規格です。教育の規格の団体 1EdTech が公開しています。
xAPI学習の経験を「だれが、どうした、なにを」の形の記録で表し、LRS に送る規格です。米国の政府プログラム ADL が公開しました。
LRSxAPI の形式の記録を受け取り、保管し、ほかのシステムに提供するサーバーです。

2026年10月時点で、LTI の現行の版は LTI 1.3 です。追加のサービス LTI Advantage には、成績を LMS に返すものなど3つがあります。従来の規格 SCORM では、記録の送り先は LMS です。LMS と LRS は、別の役目です。

図LMS、LTI、xAPI、LRS のつながり
  1. 1LMS講座と教材を届け、成績を管理する
  2. 2LTI でつなぐ外部の教材やツールを呼び出す
  3. 3教材やツール学習者が見る、問いに答える
  4. 4xAPI の記録だれが、どうした、なにを、の形で送る
  5. 5LRS記録を受け取り、保管し、提供する

当社による整理です。教材が LTI と xAPI の両方に対応している場合の流れです。緑の枠は、記録の形を決める規格です。

動画の中の問いと視聴の操作は、どう記録されますか

視聴の操作は xAPI の Video Profile の動詞で、問いへの回答は xAPI 本体の結果(result)の項目で表します。xAPI の記録の単位(statement)は、actor(だれが)、verb(どうした)、object(なにを)の3つを必ず含みます。ADL は、verb の例に watched(見た)と passed(合格した)を、object の例に動画と小テストを挙げています。

  • 視聴の操作:Video Profile は、独自の動詞を3つ定めています。played(再生した)、paused(一時停止した)、seeked(再生位置を動かした)です。動画の中の時刻、視聴した割合、視聴した区間も記録できます。
  • 問いへの回答:結果の項目に、得点、成否、完了したかどうか、回答、かかった時間を記録できます。
  • 問いの型:xAPI は、正誤、選択、穴埋めなど 10種を定めています。

Video Profile は、実践コミュニティ(xAPI Video CoP)がつくり、ADL の GitHub リポジトリで v1.0.3(2019年5月10日付)が公開されています。

規格は、どんな順に整ってきましたか

規格は、SCORM 1.0(2000年)、xAPI 1.0.0(2013年)、LTI 1.3(2019年)、xAPI の IEEE の規格(2023年)、その国際規格(2025年)の順に整ってきました。

SCORM は、教材を LMS に載せる規格で、最も新しい版は、2009年の SCORM 2004 第4版です。xAPI の以前の名前は、Tin Can API です。IEEE 9274.1.1-2023 は、xAPI 1.0.3(2016年)をもとにした規格で、ADL は xAPI 2.0 と呼んでいます。国際規格(IEEE/ISO/IEC 39274-1-1-2025)は、この IEEE の規格を採用したものです。

cmi5 は、xAPI を LMS と組み合わせて使うときの決まりです。IEEE での規格化は、2026年10月時点で策定中です。

図学習の規格の主な日付
  1. 2009年SCORM 2004 第4版SCORM の最も新しい版
  2. 2013年4月26日xAPI 1.0.0以前の名前は Tin Can API
  3. 2016年9月21日xAPI 1.0.3のちに IEEE の規格のもとになった版
  4. 2019年4月16日LTI 1.3中核の仕様書の日付
  5. 2023年10月6日IEEE の規格の発行IEEE 9274.1.1-2023(xAPI 2.0)
  6. 2025年10月28日国際規格の発行IEEE/ISO/IEC 39274-1-1-2025

SCORM は公開の年、xAPI と LTI は仕様書に書かれた日付、IEEE の2つは IEEE のページにある発行の日です。緑の枠は、xAPI が IEEE の規格として発行された日です。

日本では、どんな取り組みが公表されていますか

日本の初等中等教育では、学習 e ポータルというソフトウェアを窓口(ハブ)にして、学習ツールをつなぐしくみが公表されています。決まりの文書は、ICT CONNECT 21 の「初等中等教育におけるシステム間連携のための相互運用標準モデル」です。2026年10月時点の版は、Ver.6.00(2026年3月27日)で、次の国際的な規格を採っています。

  • LTI 1.3:学習 e ポータルが、学習ツールを呼び出します。文部科学省の CBT(Computer Based Testing)システム MEXCBT も、この方法で呼び出します。テストのスコアは、成績を返すサービス(Assignment and Grade Services)で、学習 e ポータルに返します。
  • xAPI 1.0.3:学習の記録(スタディ・ログ)を受け渡します。LRS は、その保管場所です。学習 e ポータルに組み込む場合と、独立させる場合があります。
  • OneRoster 1.2:名簿の情報を、校務支援システムから受け取ります。
図学習 e ポータルを窓口にした、初等中等教育の構成

名簿のもと

  • 校務支援システム名簿の情報を OneRoster 1.2 で渡す

窓口

学習 e ポータル学習ツールをつなぐハブ
  • LTI 1.3
  • xAPI 1.0.3
  • OneRoster 1.2

つながる先

  • MEXCBTLTI で呼び出し、スコアを受け取る
  • 学習ツールLTI で呼び出し、記録を xAPI で渡す
  • LRSxAPI の形式のスタディ・ログを保管する

相互運用標準モデル Ver.6.00 をもとにした、当社による整理です。緑の枠は、窓口になる学習 e ポータルです。

MEXCBT では、児童生徒が、国や自治体などのつくった問題で、オンラインの学習やアセスメントができます。2021年12月から、希望する全国の小・中・高等学校などで活用が始まりました。

2025年6月13日には、デジタル庁、総務省、文部科学省、経済産業省が「教育DXロードマップ」(別のタブで開きます)を策定しました。LTI について、引き続き活用を促すことが必要だとしています。

文部科学省の資料(2025年12月)は、全国学力・学習状況調査で、令和9年度から小学校の教科調査も全面的に CBT にするとしています。

公表されている数字には、どんなものがありますか

端末の整備、MEXCBT の登録、大学の LMS の導入の数字があります。時期も対象も違う数字です。

調査・資料時期対象数字
文部科学省:端末の整備状況2023年3月末義務教育段階の1人1台端末1,810自治体等(99.9%)が整備を完了
文部科学省:MEXCBT の登録2024年11月登録した学校とアカウント約2.8万校、約890万アカウント
AXIES:LMS の全学導入率2023年度の調査4年制大学89.5%
AXIES:LMS を使う科目の割合2023年度の調査4年制大学の国立、公立、私立64.2%、69.0%、76.2%

AXIES(大学 ICT 推進協議会)の調査の有効回答は、718機関です。導入していることと、どの科目でも使っていることは、別の数字です。

さらに調べるときは、どこから読みますか

発行元の公式のページから読めます。

文部科学省文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)について(別のタブで開きます):MEXCBT の目的と概要。
ICT CONNECT 21「学習eポータル」まとめページ(別のタブで開きます):説明と、相互運用標準モデルの各版。
ADLExperience API (xAPI) Standard(別のタブで開きます):xAPI の説明と、statement の例。
IEEEIEEE 9274.1.1-2023(別のタブで開きます):規格の題名、承認と発行の日付、概要。
IEEE(国際規格)IEEE/ISO/IEC 39274-1-1-2025(別のタブで開きます):国際規格としての題名と状態。ISO での番号は ISO/IEC/IEEE 39274-1-1:2025 です。
1EdTechLearning Tools Interoperability (LTI)(別のタブで開きます):LTI と LTI Advantage の概要。

言い切れないことは、何ですか

  • 規格の名前が同じでも、版が同じとは言い切れません。日本の相互運用標準モデルが採る xAPI は 1.0.3 で、IEEE の規格になった xAPI 2.0 ではありません。
  • 教材が記録をつくることと、その記録が LRS に届くことは、別です。どこに残るかは、システムの組み合わせで変わります。
  • 学習の記録を集めれば成績が上がる、とは言い切れません。学習分析のダッシュボードの研究 38件をまとめたレビュー(Kaliisa ほか、2024年)は、学業成績を高めるという期待に応えたと言える証拠はない、としています。
  • この記事の数字に、企業の研修の数字はありません。大学での LTI、xAPI、LRS の利用の割合も、ありません。

この記事は、特定の製品の対応を示すものではありません。

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出典

確かめる

この記事の内容から、2 問です。選ぶと、その場で答えと説明が出ます。

問い 1xAPI の形式で書かれた学習の記録を受け取り、保管し、ほかのシステムに提供するのは、どれですか。

問い 2LTI の役目として、この記事が説明しているものは、どれですか。

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