AI エージェントは、外部のデータや道具(ツール)と、ほかの AI エージェントにつながります。データや道具につなぐ規格が MCP、エージェントどうしをつなぐ規格が A2A です。どちらも公開された規格で、補い合う関係とされています。
AI エージェントとは、何ですか
AI エージェントは、特定の目標を達成するために、環境を感知し自律的に行動する AI システムです。日本の「AI 事業者ガイドライン」(第1.2版)(別のタブで開きます)の定義です。
Anthropic は、2024年12月19日の文章で、「ワークフロー」と「エージェント」を区別しました。あらかじめ決めた手順のとおりに LLM と道具を動かすものが「ワークフロー」です。LLM が自分で手順と道具の使い方を決めるものが「エージェント」です。
LLM は、外の道具をどうやって使いますか
LLM は、ツール利用(関数呼び出し)という機能で、外の道具を使います。LLM は、外部の関数や API を呼び出す内容を、決まった形のデータで出力します。流れは、次のとおりです。
- 開発者が、関数の名前、説明、引数を定義して、モデルに渡します。
- モデルは、必要と判断すると、呼び出す関数の名前と引数を出力します。
- アプリケーションが関数を実行し、結果をモデルに渡します。
- モデルが、最終の回答を作ります。
ツール利用の流れは、OpenAI、Anthropic、Google の文書で共通しています。開発者が定義した関数を、モデル自身は実行しません。
MCP は、何と何をつなぎますか
MCP(Model Context Protocol)は、AI のアプリケーションを、外部のデータや道具につなぐための、公開された規格です。Anthropic が 2024年11月25日に公開しました。ツール利用が道具を呼び出すしくみであるのに対し、MCP は、道具やデータへのつなぎ方をそろえます。
MCP では、AI のアプリケーション(ホスト)が、MCP クライアントを通じて、MCP サーバーにつなぎます。MCP サーバーは、ツール(実行する機能)、リソース(参照するデータ)、プロンプト(ひな形)の3種類を提供します。
2025年12月9日に、Anthropic は MCP を Agentic AI Foundation に寄贈しました。Linux Foundation の下に新しく作られた団体で、Anthropic、Block、OpenAI が共同で設立しました。
A2A は、MCP と何が違いますか
A2A(Agent2Agent プロトコル)は、AI エージェントどうしをつなぐ、公開された規格です。外部のデータや道具につなぐ MCP とは、つなぐ相手が違います。A2A では、作った会社や枠組みの違うエージェントが、互いを見つけ、作業を頼み、結果を受け渡します。Google が 2025年4月9日に公表しました。
A2A のエージェントは、自分にできることを、Agent Card という JSON の文書で公開します。頼まれた作業は、状態の移り変わりを持つタスクとして扱います。
A2A で、作業を頼む側
- ほかの AI エージェント相手の Agent Card を読み、作業を頼む
頼まれて、道具を使う側
- LLM
- MCP クライアント
MCP でつなぐ先(サーバーが提供するもの)
- ツール実行する機能
- リソース参照するデータ
- プロンプトひな形
当社による整理です。矢印は、作業を頼む向き、道具を呼び出す向きです。緑の枠は、A2A と MCP の両方でつながる側です。
| MCP | A2A | |
|---|---|---|
| つなぐもの | AI のアプリケーションと、外部のデータや道具 | AI エージェントどうし |
| Linux Foundation の下へ | 2025年12月9日に寄贈 | 2025年6月23日にプロジェクトの発足を発表 |
| 受け入れている団体 | Agentic AI Foundation | Agentic AI Foundation(2026年8月17日に発表) |
| 仕様の版(2026年10月時点) | 2026-07-28 | 1.0.0 |
A2A の規格は、Google が Linux Foundation に寄贈したものです。
- 2024年11月25日MCP の公開Anthropic が公開
- 2025年4月9日A2A の公表Google が公表
- 2025年6月23日A2A のプロジェクト発足Linux Foundation が発表
- 2025年12月9日MCP の寄贈Anthropic が Agentic AI Foundation へ
- 2026年8月17日A2A の受け入れを発表Agentic AI Foundation のブログ
各社と各団体の発表によります。緑の枠は、MCP を受け入れている団体が、A2A も受け入れると発表した日です。
エージェントのまわりの言葉は、何を指しますか
エージェントのまわりでは、Agent Skills、コンピューター操作、マルチエージェントなどの言葉が使われます。製品の機能の呼び名を含み、意味に幅のある言葉もあります。
| Agent Skills(エージェントのスキル) | AI エージェントに、特定の作業のやり方を教えるための、公開された形式です。Anthropic が 2025年10月16日に公表しました。 |
|---|---|
| コンピューター操作(Computer use) | AI モデルが画面の画像を見て、クリックやキー入力を指示し、ソフトウェアを使う機能です。OpenAI、Anthropic、Google が、同じ呼び名で提供しています。 |
| マルチエージェント | 複数の AI エージェントに役割を分け、1つの作業を進める構成です。 |
| AI のメモリー | AI が会話をまたいで情報を覚え、後の会話で使う機能です。覚える情報は、コンテキストウィンドウの外に保存します。 |
| エージェント型のワークフロー | LLM がツールを使いながら、複数の手順で作業を進めるしくみを指す言葉です。 |
安全に使うために、何を知り、何を確かめますか
安全に使うために知っておく言葉は、対策の名前が2つと、攻撃の名前が2つです。
| 人による確認(ヒューマン・イン・ザ・ループ) | AI に判断や操作を任せきりにせず、途中に人の確認や承認を入れるしくみです。 |
|---|---|
| ガードレール | AI への入力と AI の出力を検査し、有害な内容や決まりに反する内容を見つけて、止めたり知らせたりするしくみです。 |
| プロンプトインジェクション | 生成 AI に細工をした入力を与えて、意図しない出力や動作をさせる攻撃です。AI が読み込む Web ページやファイルに指示を紛れ込ませる、間接の型があります。 |
| ジェイルブレイク | モデルの出力にかけられた制限を回避させるために、細工をしたプロンプトを直接入力する攻撃です。 |
技術文書や社内の資料を使わせるときに、確かめること
- つなぐ道具と権限は、必要最小限か。影響の大きい操作の前に、人の承認が入るか。OWASP は、この2つを対策に挙げています。LLM に与えた機能、権限、自律性が大きすぎるリスク(LLM06:2025 Excessive Agency)への対策です。
- 読み込ませる資料に、指示が紛れ込んでいないか。OWASP は、RAG やファインチューニングを使っても、プロンプトインジェクションは完全には防げないとしています。
- スキルの提供元と中身を確かめたか。Anthropic は、スキルは指示とコードを含むとして、信頼できる提供元のものだけを使うよう求めています。
- 覚えさせた情報に、機密の情報が残っていないか。Anthropic の開発者向けの文書は、機密の情報を取り除く検証と、長く使われていないファイルを定期的に消すことを勧めています。
言い切れないこと、注意することは、何ですか
- AI エージェントの定義は、1つではありません。公的な文書の定義と、開発元の説明は、重なりますが同じではありません。
- 「ワークフロー」は、文書によって指すものが違います。Anthropic の区別では、手順が決まっている側です。Google の用語集の agentic workflow は、エージェントが自律的に計画し実行する過程を指します。
- MCP やガードレールがあれば安全、とは言えません。MCP の仕様は、安全の原則を、プロトコルそのものでは強制できないと書いています。OWASP の文書(LLM07:2025)は、リスクの例に、ガードレールの回避を挙げています。
- エージェントを増やせばよい、とも言えません。Microsoft の文書は、要件を確実に満たす中で、最も単純な構成を選ぶよう勧めています。
- 規格の版、受け入れている団体、機能の呼び名、機能を提供している会社は、変わりやすい情報です。このコラムの内容は、2026年10月時点のものです。
関連するページ
- Fluid Topics:技術文書を集め、Web のポータルや AI に届けるコンテンツ基盤
- コラム「LLM を業務で使う前に、知っておく言葉は何ですか」:LLM、RAG、構造化出力など、もとになる言葉の整理
- コラム「生成 AI の決まりは、日本と EU でどうなっていますか」:生成 AI についての、日本と EU の決まりの整理
- 用語集:技術文書、研修、動画、AI の用語を、業界と業務で絞り込める一覧
出典
- AI エージェントの定義:総務省・経済産業省: AI 事業者ガイドライン(第1.2版)令和8年3月31日(別のタブで開きます)
- ワークフローとエージェントの区別:Anthropic: Building effective agents(2024年12月19日)(別のタブで開きます)
- MCP の公開:Anthropic: Introducing the Model Context Protocol(2024年11月25日)(別のタブで開きます)
- MCP の寄贈:Anthropic: Donating the Model Context Protocol and establishing the Agentic AI Foundation(2025年12月9日)(別のタブで開きます)
- MCP の構成、安全の原則、仕様の版:Model Context Protocol: Specification(別のタブで開きます)
- A2A の公表:Google Developers Blog: Announcing the Agent2Agent Protocol (A2A)(2025年4月9日)(別のタブで開きます)
- A2A のプロジェクトの発足:Linux Foundation: Linux Foundation Launches the Agent2Agent Protocol Project(2025年6月23日)(別のタブで開きます)
- A2A の受け入れと、Linux Foundation への寄贈:Agentic AI Foundation: A2A joins AAIF’s open agentic stack(2026年8月17日)(別のタブで開きます)
- A2A の仕様の版、Agent Card、タスク:A2A Protocol: Specification(別のタブで開きます)
- プロンプトインジェクション:OWASP Gen AI Security Project: LLM01:2025 Prompt Injection(別のタブで開きます)
- 人の承認と、権限の最小化:OWASP Gen AI Security Project: LLM06:2025 Excessive Agency(別のタブで開きます)
- ガードレールの回避:OWASP Gen AI Security Project: LLM07:2025 System Prompt Leakage(別のタブで開きます)
確かめる
この記事の内容から、2 問です。選ぶと、その場で答えと説明が出ます。
問い 1開発者が定義した関数を、実際に実行するのはどれですか。
モデルは、呼び出す関数の名前と引数を出力します。実行するのは、アプリケーションの側です。
問い 2MCP と A2A の役目の説明で、本文に合うものはどれですか。
MCP は、AI のアプリケーションを外部のデータや道具につなぐ規格です。A2A は、AI エージェントどうしをつなぐ規格です。
このコラムに出てきた用語
このコラムは、役に立ちましたか。
よろしければ、理由を教えてください。
お名前やメールアドレスなど、個人が分かることは書かないでください。返事は差し上げられません。返事が必要なときは、お問い合わせからどうぞ。
課題を相談する
読んだ内容を、自社の状況に当てはめたいときは、いまの状況と課題をお知らせください。製品が決まっていなくても、相談できます。大学との共同研究と、教材や文書づくりの支援で得た知見をもとに、進め方を一緒に整理します。
