動画と AI に置き換わりつつあるのは、主に「同じ説明をくり返す仕事」と「下書きをつくる仕事」です。相手の課題を引き出し、関わる人の合意をつくる仕事は、人に残ります。

第2回は、第1回で整理した段階ごとに、何が変わり、何が変わらないかを見ていきます。

なぜ、営業の仕事が変わってきているのですか

Gartner の2024年の調査では、B2B の買い手の 61% が、営業の担当者を介さない購買の体験を好むと答えました。2025年の調査では、その割合は 67% で、45% が最近の購買で AI を使ったと答えています。

お客様は、営業に会う前に、動画を見て、資料を読み、AI に聞いて、候補を絞っています。説明を聞くために営業を呼ぶ場面は、減っていくと考えられます。

段階ごとに、何を動画と AI に任せられますか

段階動画と AI に任せやすいこと人が担うこと
認知・関心課題を伝える動画、AI に読まれるページ何を、だれに伝えるかを決める
比較・検討製品の説明動画、よくある質問への回答相手の状況に合わせて提案の方向を決める
商談事前の調べもの、議事録、提案書の下書き課題を引き出し、信頼を築く
受注見積書や契約書の下書き関わる人の合意をつくり、条件を決める
導入・継続操作の説明動画、問い合わせの一次対応成果を確かめ、次の課題を一緒に考える

表は、当社による整理です。左の列は、内容が決まっていて、何度も同じことをする仕事です。右の列は、相手ごとに違い、その場で判断が要る仕事です。

動画に任せると、何がよくなりますか

動画は、同じ説明を、同じ質で、何度でも届けられます。お客様は、自分の都合のよい時間に、必要なところだけを見られます。社内でほかの人に回して、同じ説明を見てもらうこともできます。

営業にとっては、商談の時間を、説明ではなく、相手の話を聞くことに使えるようになります。商談の前に動画を送り、「ご覧になって、気になったところから伺います」と始められます。

AI に任せると、何がよくなりますか

AI は、相手の会社の公開情報を調べてまとめる、商談の記録を整理する、提案書やメールの下書きをつくる、といった準備の仕事を速くします。営業は、下書きを確かめ、直し、判断することに時間を使えます。

人にしかできないことは、何ですか

  • 相手がまだ言葉にしていない課題を、問いと傾聴で引き出すこと。
  • 1件の購買に関わる複数の人の、違う関心をまとめ、合意をつくること。
  • 提案の内容に、会社として責任をもつこと。
  • 長く付き合える相手として、信頼されること。

SPIN の問いや傾聴は、AI の時代にこそ、営業の中心の技術になります。説明を動画と AI に任せるほど、人が向き合う時間の質が問われます。

任せるときに、何に気をつけますか

  • AI の下書きには、誤りが混ざることがあります。数字や約束にかかわる内容は、必ず人が確かめます。
  • お客様から預かった情報を、AI のサービスに入れてよいかは、社内の決まりと契約に従います。
  • 動画とページと営業の説明が、食い違わないようにします。Gartner の2024年の調査では、69% の買い手が、Web サイトの情報と営業の説明の食い違いを挙げています。

営業として、説明できるようにしておくことは何ですか

  • 自社の動画と資料で、お客様が商談の前に分かること。
  • その先で、なぜ人と話す価値があるのか。
  • AI で準備した内容を、どう確かめているか。

関連するページ

出典

確かめる

この記事の内容から、2 問です。選ぶと、その場で答えと説明が出ます。

問い 1Gartner の2025年の調査で、最近の購買で AI を使ったと答えた B2B の買い手の割合は、どれですか。

問い 2このコラムで「人にしかできないこと」として挙げたものは、どれですか。

課題を相談する

読んだ内容を、自社の状況に当てはめたいときは、いまの状況と課題をお知らせください。製品が決まっていなくても、相談できます。大学との共同研究と、教材や文書づくりの支援で得た知見をもとに、進め方を一緒に整理します。

このコラムの内容について相談する

コラムの一覧へ ›

気になる0