前のコラム「優秀な営業は、どんな人ですか」では、どのタイプの営業にも共通するスキルとして、傾聴と「ロジャースの3原則」を紹介しました。
相手が話しやすくなったら、次は、何を聞くかです。思いついた順に質問すると、話はあちこちに飛びます。そこで役に立つのが、問いの型「SPIN」です。
SPIN とは、何ですか
SPIN は、ニール・ラッカムと研究チームが、1970年代の初めから行った研究をもとにした、商談の問いの型です。いまは、研修の会社 Huthwaite International が、この型を伝えています。研究では、35,000件の商談を調べました。1988年に、ラッカムの本『SPIN Selling』として出版されています。
SPIN は、4種類の問いの頭文字です。
- S状況の問いいまの状況と、事実を知る
- P問題の問い困っていること、不満を見つける
- I示唆の問いその問題が、何に響くかを考える
- N解決の問い解決したときの価値を、相手の言葉で
Huthwaite International の説明をもとに、当社がまとめました。
4つの問いは、それぞれ何を聞きますか
S:状況の問い(Situation)
相手のいまの状況、事実、背景を知る問いです。話の土台をつくり、関係をつくる助けにもなります。
P:問題の問い(Problem)
相手が感じている難しさや不満を見つける問いです。相手がまだはっきり意識していない問題に、気づくきっかけにもなります。
I:示唆の問い(Implication)
その問題が続くと、何に影響が出るかを、一緒に考える問いです。相手が、解決の大切さと急ぎ具合を、自分で確かめられます。
N:解決の問い(Need-payoff)
問題が解決したら、どんな価値があるかを、相手に話してもらう問いです。価値を、こちらが説明するのではなく、相手の言葉で語ってもらうところが大切です。
たとえば、研修の担当者との商談なら
社内の研修を担当する方との商談を、例にしてみます。
| 問い | 聞くことの例 |
|---|---|
| S:状況 | 「新しく入った方の研修は、いま、どのように行っていますか」 |
| P:問題 | 「研修のあと、同じ質問を何度も受けることはありますか」 |
| I:示唆 | 「同じ質問に答える時間は、ほかの仕事にどう響いていますか」 |
| N:解決 | 「研修の内容が、見た人に伝わったかどうかが分かると、何が変わりそうですか」 |
この例は、当社がつくった架空の会話です。順番どおりに聞くことより、相手の答えに合わせて、問いを選ぶことが大切です。Huthwaite International も、SPIN を決まった順番ではなく、柔軟な枠組みとして説明しています。
使うときに、つまずきやすいところは
- 状況の問いばかりになる:調べれば分かることを何度も聞くと、相手の時間を使わせます。相手がすでに比べて選んでいる段階なら、分かりきった状況の問いは、話の妨げにもなります。会う前に調べられることは、調べておきます。
- 示唆の問いで、不安をあおる:問題を大きく見せることが目的ではありません。相手と一緒に、影響を確かめます。
- 答えを先に言ってしまう:解決の問いは、相手に価値を話してもらうための問いです。製品の説明を急がずに、相手の言葉を待ちます。
- 聴かずに、次の問いへ進む:答えを聴かないまま型どおりに進めると、問いは尋問になります。
傾聴と SPIN は、どうつながりますか
SPIN は、何を、どの順に聞くかの型です。ロジャースの3原則は、どう聴くかの姿勢です。型だけでは、問いは一方的になります。姿勢だけでは、話がまとまりません。
傾聴(ロジャースの3原則)
相手が話しやすくなる。話の背景が分かる
SPIN の4つの問い
課題と、解決したときの価値が、相手の言葉で出てくる
重ねると
相手が納得した課題から、提案を始められる
当社による整理です。
聴く姿勢と、問いの型。2つを重ねることで、相手が自分の言葉で課題を話し、その課題から提案を始められます。
会う前に、できること
状況の問いを減らすには、会う前の準備が役に立ちます。買い手もまた、営業に会う前に多くのことを調べています。くわしくは「BtoB の買い手は、営業に会う前に、何をどこまで調べていますか」をご覧ください。
商談のあとに送る説明も、問いを重ねると、聴く場になります。hihaho の動画に問いや分かれ道を入れると、相手がどの項目を選び、どう答えたかが記録に残ります。次の商談で聞くことを決める手がかりになります。
関連するページ
- 優秀な営業は、どんな人ですか。傾聴とロジャースの3原則:このコラムの前編
- BtoB の買い手は、営業に会う前に、何をどこまで調べていますか:資料と説明動画の役割
- hihaho:動画に問いや分かれ道を重ねるインタラクティブ動画
出典
- SPIN の4つの問いと、柔軟な枠組みであることHuthwaite International: The SPIN Methodology(別のタブで開きます)
- 研究の始まり、35,000件の商談、1988年の出版、状況の問いの注意Huthwaite International: SPIN Selling: Complete Guide to Sales Success(別のタブで開きます)
確かめる
この記事の内容から、2 問です。選ぶと、その場で答えと説明が出ます。
問い 1SPIN の「I」は、どんな問いですか。
I は Implication(示唆)。問題が何に響くかを、相手と一緒に考える問いです。
問い 2解決の問い(Need-payoff)で大切なことは、どれですか。
解決の問いは、価値を相手に語ってもらうための問いです。
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