あなたの中で、優れた営業とは、どんな人ですか。たくさんの商品を売れる人でしょうか。それとも、どんな新しい商品でも、すぐに売れるようになる人でしょうか。
答えは、人によってちがいます。営業には、いくつかのタイプがあるからです。けれども、どのタイプを目指すにしても、優れた営業に共通するスキルがあります。相手の話を聴く「傾聴」です。
営業には、どんなタイプがありますか
会社や商品によって、営業の仕事の形はさまざまです。たとえば、次のように分けられます。
新しい顧客を開く
まだ取引のない会社に会い、最初の商談をつくる
長く付き合う
取引のある顧客と関係を育て、次の課題を一緒に見つける
技術で答える
製品のしくみに詳しく、導入の条件や疑問に答える
電話やオンラインで進める
会社にいながら、多くの顧客と商談を進める
当社による整理の例です。1人が、いくつかのタイプを兼ねることもあります。
電話やオンラインで進める形は、インサイドセールスとも呼ばれます。タイプがちがえば、得意な場面も、使う道具もちがいます。
どのタイプにも共通するスキルは、何ですか
どのタイプの営業も、相手の課題を知るところから始まります。課題を知るには、相手が話してくれなければなりません。相手が話してくれるかどうかは、こちらの聴き方で変わります。
商品の説明が上手なことより先に、相手が「この人には話してもいい」と思えること。そのための土台が、傾聴です。
傾聴の基本「ロジャースの3原則」とは
「積極的傾聴(Active Listening)」は、米国の心理学者カール・ロジャーズが提唱しました。ロジャーズは、カウンセリングがうまくいった事例に共通する、聴く側の3つの要素として、「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」を挙げました。厚生労働省の「こころの耳」は、これを「ロジャースの3原則」として紹介しています。
- 1共感的理解相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする
- 2無条件の肯定的関心善い悪い、好き嫌いで評価せずに聴く。なぜそう考えるのか、背景に関心を持つ
- 3自己一致分かりにくいところは、分かりにくいと伝えて、聴き直して確かめる
厚生労働省「こころの耳」の説明をもとに、当社がまとめました。
営業の場面に置き換えると、どうなりますか
もとはカウンセリングの考え方ですが、商談でも、相手の話を聴く姿勢として使えます。
| 原則 | 商談で、すること | ひとことの例 |
|---|---|---|
| 共感的理解 | 相手の立場で、その課題がどれくらい困ることなのかを想像しながら聴く | 「毎月その作業があると、ほかの仕事が後回しになりますね」 |
| 無条件の肯定的関心 | いまのやり方や、他社の製品を選んだ理由を、否定せずに聴く | 「その方法を選ばれたのは、どんな理由からですか」 |
| 自己一致 | 分からない言葉や、話の食いちがいを、そのままにしない | 「いまの『確認』は、内容の確認ですか。見たかどうかの確認ですか」 |
気をつけたいのは、3原則を、相手を動かすための技として使わないことです。共感したふりや、うなずくだけの聴き方は、相手に伝わります。商談には売るという目的がありますが、まず相手を理解しようとする姿勢が、信頼の始まりになります。
明日の商談から、試せること
- 最後まで聴く:相手の話の途中で、商品の説明を始めない。
- 言い換えて返す:「つまり、〇〇ということですね」と、聴いた内容を短くまとめて確かめる。
- 背景を聴く:「なぜ」を責める言い方にせず、「どんなきっかけで」と聴く。
- 分からないことを聞き返す:知ったかぶりをしない。
- 話した割合を振り返る:商談のあと、自分と相手のどちらが多く話したかを思い出す。
聴いたあとは、何を聞けばよいですか
傾聴で、相手が話しやすくなったら、次は、相手の課題やニーズを引き出す問いが要ります。そのための型として知られているのが「SPIN」です。次のコラム「商談で、相手の課題をどう引き出しますか。SPIN の4つの問い」で解説します。
相手の声を聴く方法は、会話だけではありません。hihaho の動画では、見る人が選んだ項目や、問いへの答えが記録に残ります。商談のあとに送る動画から、相手がどこに関心を持ったかを知る手がかりにもなります。
関連するページ
- 商談で、相手の課題をどう引き出しますか。SPIN の4つの問い:このコラムの続き
- BtoB の買い手は、営業に会う前に、何をどこまで調べていますか:資料と説明動画の役割
- hihaho:見る人の選択や答えが残る、インタラクティブ動画
出典
- ロジャースの3原則(積極的傾聴)厚生労働省 こころの耳:傾聴とは(別のタブで開きます)
- 来談者中心療法と3つの態度厚生労働省 こころの耳:来談者中心療法(用語解説)(別のタブで開きます)
確かめる
この記事の内容から、2 問です。選ぶと、その場で答えと説明が出ます。
問い 1「ロジャースの3原則」に入っていないものは、どれですか。
3原則は、共感的理解、無条件の肯定的関心、自己一致です。
問い 2商談で、相手の言う「確認」の意味がはっきりしないとき、自己一致の考え方に沿った聴き方は、どれですか。
自己一致では、分かりにくいところをそのままにせず、聴き直して確かめます。
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