あなたの会社の Web サイトは、AI に対応できていますか。
Web サイトを訪れて、内容を読むのは人だけ。そう思っていないでしょうか。いま、多くの人は、何かを調べるとき、まず AI に聞きます。AI はサイトを読み、要点をまとめ、候補を絞り込んで答えます。人があなたの会社のサイトを開くのは、そのあとです。AI の答えに名前がなければ、サイトを開いてもらう機会そのものが減ります。
このコラムでは、AI がサイトをどう読んでいるのかを、調査と公式の説明から確かめ、これからも選ばれる会社であるために、今すぐできる 3つのことを紹介します。
Web サイトを読むのは、人だけではありません
これまで
- 人が検索する言葉を入れ、結果の一覧を見る
- 人がサイトを開くいくつかの会社のサイトを読み比べる
- 人が選ぶ問い合わせる会社を決める
これから
- 人が AI に聞く「〇〇に強い会社は?」と、文で尋ねる
- AI がサイトを読む複数のサイトを読み、要点をまとめ、候補を絞る
- 人が、残った候補を開くAI の答えに出た会社だけを確かめる
当社による整理です。
AI の会社は、サイトを読むためのボット(自動でページを読みに来るプログラム)を公開しています。たとえば OpenAI は、ChatGPT の検索の機能でサイトを見つけて示すための OAI-SearchBot や、利用者の質問に応じてページを読みに行く ChatGPT-User などを説明しています。あなたの会社のサイトにも、人に混じって、こうしたボットが訪れています。
人が見る前に、AI が判断しています
米国の調査機関 Pew Research Center は、2025年3月の米国の成人 900人の閲覧の記録を調べました。Google の検索で AI の要約が出た場合、ふつうの検索結果のリンクを押したのは、訪問の 8% でした。AI の要約が出なかった場合は 15% です。要約の中のリンクを押したのは、わずか 1% でした。
企業の購買でも、同じことが起きています。調査会社 Forrester の 2025年の調査では、企業の購買に関わる人のうち、AI を使っている人の割合は 94% にのぼりました。
つまり、多くの人は、AI がまとめた答えを読んで、そこで判断を進めています。サイトを読んでもらう前に、AI に正しく読まれ、答えの中に正しく入っていることが、選ばれるための最初の関門になりつつあります。
AI に読まれないと、何が起きますか
- 候補の一覧に、名前が挙がらない。
- 名前は挙がっても、古い製品や、終わったサービスで説明される。
- 強みが伝わらず、「ほかにもある会社の 1つ」としてまとめられる。
- 他社のサイトや、第三者の記事の説明が、そのまま自社の説明として使われる。
どれも、サイトを見た人が気づく前に起きています。だからこそ、自分から確かめる必要があります。
今すぐできる 3つのこと
- 1AI に、自社のことを聞いてみるいま、AI にどう見えているかを知る
- 2大事なことを、AI が読める形で書く文字で、見出しで、構造化データで
- 3AI の入口と、信頼の手がかりを確かめるrobots.txt と、誰が・いつ・何をもとに書いたか
当社による整理です。
1. AI に、自社のことを聞いてみる
まず、いまの姿を知ります。ChatGPT、Gemini、Microsoft Copilot など、お客様が使いそうな AI に、お客様の言葉で聞いてみてください。社名で聞くだけでなく、お客様が抱える課題で聞くのが大事です。
| 聞くこと | 質問の例 | 確かめること |
|---|---|---|
| 会社のこと | 「〇〇株式会社は、何をしている会社ですか」 | 事業、製品、所在地、代表者が正しいか。古い情報が混ざっていないか |
| 課題から | 「マニュアルを AI で検索できるようにしたい。どんな方法と会社がありますか」 | 自社の名前が出るか。出たとき、強みが正しく書かれているか |
| 比べると | 「〇〇と△△は、何が違いますか」 | 比べ方が正しいか。どのページが元になっているか |
答えに出典のリンクが付いていれば、どのページが読まれているかが分かります。結果は、日付と一緒に記録しておきます。3か月後に同じ質問をすると、変化が見えます。AI の答えは、同じ質問でも毎回少しずつ変わるため、1回で決めつけないことも大事です。
2. 大事なことを、AI が読める形で書く
Google は、AI による概要(AI Overviews)や AI モードに出るために、特別な対策は要らないと説明しています。そのうえで、大事な内容を文字で載せること、構造化データをページに見えている文と合わせることなどを挙げています。
- 大事なことを、画像や PDF の中だけに置かない。製品の説明、価格の考え方、対応できる範囲を、ページの文字で書く。
- 1つのページに、1つの話題。見出しで区切り、「誰に」「何を」「どこまで」を、はっきり書く。
- お客様がよく聞くことを、問いと答えの形で書く。AI は、質問に合う部分を探して答えるからです。
- 会社、製品、よくある質問などに、構造化データを付ける。構造化データは、ページの内容を機械に伝えるための、決まった形式の印です。
見た目ではなく、意味で書く。これは、連載「情報の構造化って、何ですか」で紹介した考え方と同じです。人に分かりやすく整理されたページは、AI にも読みやすいページです。
3. AI の入口と、信頼の手がかりを確かめる
サイトには、robots.txt という、ボットにどのページを読んでよいかを伝えるファイルがあります。以前に設定した内容や、サーバーやセキュリティのサービスの設定で、AI の検索のボットまで止めていないかを確かめます。Google も、robots.txt や、CDN などの配信のしくみで、ページを読むことが許されているかを確かめるよう挙げています。
AI のボットには、役目の違うものがあります。OpenAI は、検索の結果にサイトを出すための OAI-SearchBot と、AI のモデルの学習に使う GPTBot を分けていて、設定はそれぞれ別に決められると説明しています。検索には出したいが、学習には使ってほしくない。そうした方針も、会社として選べます。
もう 1つが、信頼の手がかりです。Google は、コンテンツの評価で、信頼がいちばん大事だと説明し、誰が作ったのか、どう作ったのかを、読む人に分かるようにするよう求めています。会社の情報、書いた人や監修した人、更新した日、数字の出典。人が信頼する手がかりは、AI がどの情報を答えに使うかを決めるときの手がかりにもなります。
チェックリスト:あなたのサイトは、AI に対応できていますか
- □ AI に、社名と、お客様の課題の両方で聞いてみた。
- □ AI の答えの中の、自社の説明が正しい。
- □ 製品やサービスの説明、対応できる範囲が、画像や PDF だけでなく、ページの文字で書いてある。
- □ 1つのページが 1つの話題で、見出しで区切られている。
- □ よくある質問に、問いと答えの形で答えている。
- □ 会社や製品の構造化データが付いていて、ページの文と合っている。
- □ robots.txt やサーバーの設定で、AI の検索のボットを、意図せず止めていない。
- □ 学習に使われることについて、会社としての方針を決めている。
- □ 会社の情報、書いた人、更新した日、数字の出典が、ページに書いてある。
人のためのサイトは、要らなくなりますか
いいえ。AI が候補を絞ったあと、最後にサイトを開いて、確かめて、問い合わせるのは人です。Google も、AI の機能に向けて、これまでの検索の基本がそのまま大事だと説明しています。
AI に対応したサイトとは、AI のために特別なことをしたサイトではありません。事実が、文字で、整理されて、誰が書いたかとともに載っているサイトです。それは、人にとっても分かりやすいサイトです。AI に読まれる前提で、人のために書く。それが、これからのサイトのあり方です。
このコラムで言えないこと
- ここで挙げた 3つを行っても、AI の答えに必ず名前が出るとは限りません。AI がどの情報を使うかは、サービスごとに違い、時期によっても変わります。
- Pew Research Center と Forrester の調査は、米国などの調査です。日本の利用者の動きとは、違う点があり得ます。
- AI のために、サイトに llms.txt というファイルを置く提案もあります。ただし提案の段階で、Google は、AI の機能に出るために特別な対策は要らないと説明しています。
あなたのサイトを、AI の目で見てみませんか
スプライングローバルは、文書と情報を、人にも AI にも正しく届く形に整える仕事をしています。自社のサイトや文書が、AI にどう読まれているかを、一緒に確かめるところから始められます。
関連するページ
- 連載「情報の構造化って、何ですか」第1回:見た目ではなく、意味で書くということ
- 連載「情報の構造化って、何ですか」第3回:自社の文書に構造化が要るかを確かめるシート
- コラム「PDF のマニュアルを AI に読ませると」:文書の構造が失われると、AI の答えに何が起きるか
- Fluid Topics:技術文書を集め、人と AI に届けるコンテンツ配信基盤
出典
- AI の要約が出ると、リンクを押す人が減ること:Pew Research Center「Google users are less likely to click on links when an AI summary appears in the results」(2025年7月22日)(別のタブで開きます)
- 企業の買い手の AI の利用:Forrester「B2B Buyers Make Zero-Click Buying Number One」(Buyers’ Journey Survey, 2025 による)(別のタブで開きます)
- ChatGPT の検索に使うボットと、学習に使うボットの違い:OpenAI「Overview of OpenAI Crawlers」(別のタブで開きます)
- Google の AI の機能に向けて、サイトの側ですること:Google 検索セントラル「AI features and your website」(2025年12月10日更新)(別のタブで開きます)
- 構造化データとは:Google 検索セントラル「Introduction to structured data markup in Google Search」(別のタブで開きます)
- robots.txt の役目:Google 検索セントラル「Introduction to robots.txt」(2025年12月10日更新)(別のタブで開きます)
- 誰が、どう作ったかを示すこと。信頼がいちばん大事なこと:Google 検索セントラル「Creating helpful, reliable, people-first content」(2026年10月5日更新)(別のタブで開きます)
- llms.txt の提案:Jeremy Howard「The /llms.txt file」(2024年9月3日)(別のタブで開きます)
確かめる
この記事の内容から、2 問です。選ぶと、その場で答えと説明が出ます。
問い 1Pew Research Center の調査で、Google の検索で AI の要約が出たとき、ふつうの検索結果のリンクが押された割合は、どうでしたか。
AI の要約が出たときは訪問の 8%、出なかったときは 15% でした。要約の中のリンクが押されたのは 1% でした。
問い 2OpenAI の説明で、ChatGPT の検索の結果にサイトを出すために使うボットは、どれですか。
OAI-SearchBot は、ChatGPT の検索の機能でサイトを示すために使われます。GPTBot はモデルの学習に関わるもので、設定はそれぞれ別に決められます。
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